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歯科から始める認知症予防

アルツハイマー型認知症の予防は、歯科から始められます

最近、エーザイがアルツハイマー型認知症の原因物質に直接働きかける治療薬を開発しました。現在、アルツハイマー型認知症の患者数は560万人と推定されており、患者さんとご家族にとって大きな朗報です。

これまでの治療薬は、病気の進行を根本的に止めるものではなく、あくまで症状を一時的に緩和するにとどまるものでした。病気の根本原因に作用し、進行を遅らせる薬が登場したことは画期的ですが、実はそのような薬に頼らずとも、歯科から始められる「認知症予防」があることをご存知でしょうか。

介護現場で見えてきた「絶対に避けたい未来」

私は歯科医院の院長として働く傍ら、介護保険の介護認定審査会でも仕事をしていました。認定審査委員として、また歯科医師として、現場を知れば知るほど「認知症には絶対になりたくない」と強く感じました。

認知症にはいくつかのタイプがありますが、その7割を占めるのが「アルツハイマー型認知症」です。これは「アミロイドβ」というタンパク質が脳細胞に蓄積されることで発症します。

歯周病とアルツハイマー病の関わり

では、なぜ歯周病が関係するのでしょうか。歯周病菌は歯肉の腫れを引き起こし、歯を支える骨を溶かす原因菌です。この菌が歯肉粘膜や周辺組織から体内へ侵入すると、免疫細胞がそれを退治しようと動き出します。

その際、免疫細胞は「カテプシンB」というタンパク質分解酵素を出します。ところが、このカテプシンBは歯周病菌だけでなく、自分の細胞まで傷つけてしまい、結果として異常なタンパク質である「アミロイドβ」を大量に発生させてしまうのです。

脳を守るために、今すぐできること

手元に林修氏の本があります。人気者の彼の原点は「過ちては改むるにはばかることなかれ」という論語の教えを、忠実に実践してきたことにあるそうです。

アルツハイマー型認知症と歯周病の関係も、まさにこの教えの通りです。本来、脳には有害物質の侵入を防ぐ「血液脳関門」という防御機構があります。しかし、歯周病菌が全身の血管を通じて血液脳関門まで侵入すると、事態は悪化します。

歯周病菌を排除しようとして免疫細胞が放出したカテプシンBが、あろうことか「アミロイドβ」を脳内へ引き込む受容体を増やしてしまうのです。この受容体から入り込んだアミロイドβは、長い時間をかけて脳内に蓄積し、細胞を傷つけて萎縮させ、アルツハイマー型認知症を発症させます。

生活習慣病の一つである歯周病は、自覚症状がほとんどないまま静かに進行します。いち歯科医師の意見として、歯周病が一度進行してしまうと、完全に止めることは難しいかもしれません。しかし、患者さんのご協力があれば、その進行を遅らせることは十分に可能です。

いつ歯科医院へ行くべきか。答えは「今でしょ!」